スペイン情報ブログ"otro estanco"の第1回目の記事は、マドリッド市内交通の共通定期券の入手方法を紹介します。「入手方法2」では、実際の購入体験談(ボヤキ)もありますので、お時間がありましたら、そちらのほうもお読みください。ボヤキのほうを読んでいただけると、このブログのタイトル”otro estanco”(オトロ・エスタンコ)の由来がおわかりいただけます。
0.マドリッド市の主な交通網(2013年10月現在)
マドリッドの交通網は発達していて非常に便利です。主なものを挙げると…
・地下鉄(Metro):市の中心部(Centro)をほぼ網羅。初乗り1.50€(ユーロ)、距離に応じて
料金が変動。
・セルカニアス・レンフェ(Cercanias Renfe):JRのようなもの。市内と郊外、さらには地方
都市を結ぶ。初乗り1.50€で、距離に応じて料金が変動。
・市内バス(EMT) :市の中心部をほぼ網羅。料金は1.50€均一。
・郊外行バス(Interurbano):市内と郊外を結ぶ。初乗り1.50€、距離に応じて料金が変動。
ここで紹介する定期券は、上の交通手段のすべてが、購入の際に指定したゾーン内なら乗り放題になる便利な定期券です。1か月以上滞在する人、アクティブに行動したい人は入手必至です。(1週間程度の滞在なら、”Billete tristico”(ビジェーテ・トゥリスティコ)「旅行者チケット」というのがありますので、そちらのほうが手軽に購入でき、便利です。スペイン語、英語ができる方は、”Consorcio Transportes Madrid”(マドリッド交通協会)のページで確認してください。
http://www.crtm.es/ のページの”otros abonos”をクリックします。
※ゾーン(zona:ソナと発音)について
マドリッドは、中心部をAゾーンとし、そこから遠心状にB1→B2→B3→C1といようにゾーン
が決められています。したがって、定期券を購入する場合、自分がどのゾーンの定期券を購
入するか指定することになります。当然、中心部から遠いゾーンの定期券は高くなります。
たとえば、ゾーンB2の定期券を買った場合、ゾーンA・B1・B2であれば、上に記したすべて
の交通が利用し放題になります。ちなみに、観光名所はゾーンA内にあるので、長期の観光目
的ということであれば、ゾーンAのみで十分です。
1.定期券の呼び方
ここで紹介する定期券は、スペイン語で”Abono transportes mensual ”(アボーノ・トランスポルテス・メンスアル)と言います。単に"Abono mensual"と呼ぶことのほうが多いですが、要するに月極めの交通定期券という意味です。ここでは、簡単に”Abono mensual”と呼ぶことにします。
2.Abono mensualの構成
日本の定期券の考え方と少し異なるのは、”Abono mensual”が、以下の2つから成る点です。
①”ABONO TRANSPORTES”と書かれた、所持者の情報(氏名・身分証番号・発行番号・
有効なゾーン・バーコード・顔写真)が記載された赤いカード。発行は無料。
②”Cupon mensual”(クポン・メンスアル)という切符サイズの月極め定期券。ゾーンに応
じて料金が異なる。
まず①を入手し、それを提示することで②が購入できる、という流れです。”Consorcio Transportes Madrid”(マドリッド交通協会)のページでは、単純に、①を”tarjeta”(タルヘータ)、②を”cupon”(クポン)と呼んでいますので、ここでもその呼び名に倣います。”tarjeta”(左)と"cupon"(右)はこんな感じです。
3.Abono mensualを入手するには?
手続きの舞台は、”Estanco”(エスタンコ)です。”Estanco”とはタバコ屋の意味で、別名
”Tabacos"(タバコス)と言います。タバコ屋と言ってもタバコだけを販売しているわけではなく、実に様々な業務を請け負っています。店舗の数から言えば、ちょうど日本のコンビニのようなものです。(しかし、繁華街やターミナル駅以外は、長い昼休みがあり、営業時間は非常に短いです。)下の写真のような店が、いろいろな場所にあります。
さて、手続きの流れです。
ⅰ)申請に必要な顔写真とパスポートを準備する。顔写真はカラーで、だいたい縦4×横3㎝
くらい。(地下鉄などに、スピード写真がありますので、それでOK。)
ⅱ)”Estanco”(エスタンコ)で申請書(”Solicitud tarjeta abono mensual”)をもらい、
必要事項を記入する。(どのゾーンまでをカバーする定期券が必要かを記入するように
なっている。通常”Estanco”には、記帳台のようなものはない。持ち帰って記入するか、
帰るのが面倒であれば、書けるスペースを見つけて書いてもよい。)
ⅲ)記入した申請書を”Estanco”に出す。それと引き換えに”tarjeta”が渡されるので、自分で氏
名、身分証番号(外国人はパスポート番号で可)を記入する。記入後、”tarjeta”を顔写真
と共に返す。顔写真を貼り付け、ラミネート加工をしてくれ、発行となる。
→ ここまでの過程は無料。
ⅳ)発行された”tarjeta”を見せ、”cupon”を購入する。”tarjeta”には、すでに利用したいゾーン
が記載されているので、何も言わなくても利用ゾーンの定期券を購入することになる。
”tarjeta”に記載されている発行番号を”cupon”にも書くので、利用規約上は”cupon”を他人
に貸したり、譲渡したりすることはできない。(ただし、交通の利用時に、常に
”tarjeta”と”cupon”を照合するわけではない。)
”Cupon mensual”の料金(2014年5月現在)
ZonaA:54.60€ ZonaB1:63.70€ ZonaB2:72.00€ ZonaC1:82.00€
はい、これで晴れて、”Abono mensual”の入手となりました!乗りまくっちゃってください。ちなみに、私は毎日郊外に行く用事がありますので、ゾーンB2までをカバーする定期券を持っています。これで、かなりの場所まで乗り放題が可能になります。「目的地を決めずに散歩に出発 → 行けるところまで行って → そこにある交通手段を乗り継いで帰宅」といったことを、日々の楽しみにしています。
補足情報
※ここで紹介する入手方法は、唯一絶対のものではありません。私が、最も基本的な入手方
法なのではないか、と考えている方法です。スペイン語や英語がわかる方は、”Consorcio
Transportes Madrid”(マドリッド交通協会)のHP(
http://www.crtm.es/)で確認がで
きますので、参考にしてください。※ただし、「マドリッド交通定期券の入手方法2」
でもお伝えするように、協会の案内と実情はやや異なりますので注意が必要です。
※”tarjeta”を一度入手してしまえば、あとは毎月の月末に、翌月分の”cupon”を購入するだけで
す。estancoだけではなく、地下鉄構内にある自動券売機でも、手軽に”cupon”の購入が可能
です。その際も、”tarjeta”が必要です(バーコード部分を機械に挿入して、情報を読み取ら
せます)。
※”cupon”は、折り曲げてもいないのに、利用の際(特に”Interurbano”(郊外行バス)では)
頻繁にエラーが起こります。バスであれば、エラーが出ても、運転手に”cupon”を見せれば
通してくれますが、地下鉄などでは、いちいち駅員を読んで説明するのは、大変わずらわ
しいです。エラーが頻繁に起こるような場合は、地下鉄の駅員に”No funciona.”(ノー・フ
ンシオーナ)「使えないんだけど」と言えば、自動券売機を操作して、新しいものを発行
してくれます。
※ここで紹介したのは、最も標準的な”Abono normal”(アボーノ・ノルマル:24~64歳ま
で)の1か月定期の入手方法です。この他に、若者用”Joven”(ホベン:23歳まで・半額に
なる)や、高齢者用”Tercera edad”(テルセーラ・エダ:65歳から・どのゾーンでも一律
12.30€)、また、1年定期や家族割引などもあります。これらは、即日発行はできず、い
くつかの書類を”Estanco”に提出後、”Consorcio Transportes Madrid”(マドリッド交通協
会)の審査を経て、15日程度ののちに発行されます。料金設定については、以下で確認で
きます。
http://www.crtm.es/servlet/RedTransServlet?xh_ACCION=1&xh_TIPO=7&MENU=3&SUBMENU=1
また、2014年5月現在、若者用”Joven”(ホベン)の定期券のみ、プラスチック製のカード
(”tarjeta”と”cupon”を融合したもの)に移行しつつあります。いずれは、”normal”も”Joven”
も、”tarjeta”と”cupon”は廃止され、プラスチックのカード一枚になる見込みです。
いつ完全移行になるかは未定です。
以上が標準的な定期の入手方法です。一見簡単なのですが、実際には…。詳しくは「マドリッド交通定期券の入手方法2」をご覧ください。Hasta luego!(アスタ・ルエゴ)「では、また」
[2回]
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