「NIE取得の道のり1」では、NIE(Número de Identidad de Extranjero:ニーエと読む)についての基本的な知識をご紹介しました。今回から、手続きの基本的な流れをご紹介していきます。
ここで書く内容は、取得を済ませた後で、自分のケースを振り返りながらまとめたものです。実体験に基づいていますので、決して間違いはないと思います。が、スペイン語に堪能で、スペイン政府のHPなどから十分な情報を収集できるという方は、そちらを参考にしたほうが良いかもしれません。あくまで、「NIEの全貌について、いまいちピンと来ない…」という方に、このブログ記事が参考になるのではないかと思います。
また、前回も書いたように、これは1年間の学生ビザを持っている本人とその家族がNIEを申請する場合の事例です。仕事などで滞在されている方とは事情が異なると思いますので、注意ください。また、親切な語学学校や大学などでは、外国人留学生向けにしっかりと説明をしてくれたり、手続きを始めから終わりまで手伝ってくれたりする場合があるかもしれません。その場合は、そちらの指導に従ったほうが良いと思います。(私のケースでは、大学の事務の方がいろいろと手伝ってはくれましたが、間違えがあったりして混乱が生じたこともありました…。)
1.NIE申請の関係機関
① La Brigada Provincial de Extranjería y Fronteras de Madrid「マドリッド外国人入国・登
録局」(住所:Avenida de los Poblados S/N)
行き方:地下鉄5号線またはセルカニアスC-5線のアルーチェ駅(Aluche)から徒歩5分。
アルーチェ駅から見ると、遠くのほうにこのような黄色い建物が見えます。HPで確認したところ、同じ名前の機関がありましが、アルーチェ駅の近くにあるこの黄色い建物ですので、お間違えのないように。 この記事では、便宜上、「アルーチェ」と呼ぶことにします。
② La Oficina de Extranjeros de Canillejas
「カニジェーハス外国人局」(住所:Calle San Faustino, 23)
行き方:地下鉄5号線カニジェーハス駅(Canillejas)から徒歩10分程度
アルーチェとは異なり、駅から少し遠く、非常に小さい建物です。 以下、「カニジェーハス」と呼びます。
日本でのビザ取得の際、または様々な情報媒体などでも、「入国後30日以内に警察に出頭」と説明されていますが、要するに「30日以内に以上の機関に出頭せよ」という意味です。一般的にはスペイン人も、出頭するべき場所をcomisaría(コミサリア:警察署)と読んでいますので、上に書いたような長ったらしい名称を覚える必要はありません。
また、以上2箇所を挙げたのは、家族の分の申請が必要なケースのためです。学生ビザ所持者本人の申請だけであれば、場所はアルーチェのみで済みます。しかし、ビザ取得者の家族の分の申請の場合、カニジェーハスも関係してくるのです(「NIE取得の道のり3」でご説明します)。
ちなみに、アルーチェは内務省(Ministerio de Interior)、カニジェーハスは財務・行政省(Ministerio de Hacienda y Administración Públicas)の管轄です。家族の分の申請を行う場合、2つの機関にまたがる申請となるため、時間もかかるし、いろいろとやっかいな点があります(これについては「NIE取得の道のり4」でご説明します。)
2.申請手続きの流れ
「入国後30日以内に警察に出頭する」ということはこれまでにも再三書いてきました。しかし、NIEは、警察署に出向いたからといって、すぐに発行してくれるというものではありません。個人差はあるかと思いますが、入国後、初めて警察に出頭してから、少なくとも1ヶ月半~2ヶ月程度はかかります。それは、
合計3回の出頭が義務付けられているからです。
「合計3回の出頭」の内容について、今回は、本人分の申請について説明をしていきます。(家族分の申請については、次回「NIE取得の道のり3」でご説明します。)
2.1 本人の場合 ※「本人」とは、学生ビザの取得者で、大学に籍のある者の意味です。この
場合、この記事を書いている「私」のことです。
① 1回目の出頭:cita(シタ)を取り付けるための出頭
場所 :アルーチェ(荷物検査後、入口を入って左の建物の2階)
日時 :入国後30日以内の平日9:00~12:00
必要書類:・申請用紙(EX15という様式の用紙)
・パスポートとそのコピー(顔写真のページと査証のページ)
・大学の在籍を証明する書類(入学許可証、招聘状)とそのコピーパスポート
※citaとはアポイントメントの意味です。2回目の出頭の際に、必要書類を提出して指紋の
写真を撮られますが、そのための予約を取ることがcitaです。「入国後、30日以内に警察
へ」というのは、つまり「入国後30日以内に警察へ行ってcitaを取り付けなさい」とい
う意味です。このcitaの予約は、ネットや電話などではできす、本人が自ら出頭して行わ
なければなりません。
ちなみに、この1回目の出頭は、「無事に入国を済ませ、NIEを申請する意志がある
ぞ」ということの表明になります。ですので、入国後、とにかく30日以内にこの出頭を
済ませておけば、後は、何らかの問題で手続きが長引こうとも、罰せられる心配はあり
ません。
※申請用紙(EX15)は、親切な大学の留学生担当者ならくれますし、スペイン政府のHP
からもダウンードが可能です。
http://extranjeros.empleo.gob.es/es/ModelosSolicitudes/Mod_solicitudes2/index.html
※パスポートと招聘状のコピーは、大学の留学生担当者から、持って行くように言われて
いましたが、実際には提出の義務はありませんでした。ちなみに、建物の外には有料の
コピー機が設置されています。
※citaの手続きが無事に済むと、以下のものが配布されます。
・2回目の出頭の日時と必要書類(②を参照)が記された紙
・手数料払込用紙(tasa790という複写式の用紙)
② 2回目の出頭:必要書類の提出と指紋撮影のための出頭
必要書類を提出し、指紋(huella)の撮影を行います。手続き開始までにかなりの時間(1
~2時間)並んで待つことを覚悟して行ってください。
場所 :アルーチェ(荷物検査後、入口を入って左の建物の1階)
時間 :1回目のcitaの際に指定された日時
必要書類: ・パスポートとそのコピー(顔写真のページと査証のページ)
・大学の在籍を証明する書類(受入許可証)とそのコピー
・顔写真1枚(カラー写真、背景は白地に限る)
・手数料払込用紙(tasa790)の控え
・住民票(volante de empadronamiento)
※大学の在籍を証明する書類について、大学の留学生担当者に相談したところ、新たな
「受入許可書」が必要とのことでした。そこで、その担当者を通して、指導教授に新た
な作成受入許可書を作成してもらいました。
※顔写真のサイズは、tamaño de carnetとされています。正確なサイズはよくわかりませ
んが、縦4cm×横3cm程度であればOKです。ただし、
背景の白地は守らねばなりませ
ん。
※手数料の払込は、1回目の出頭で配布された用紙(tasa790)で行います。どこの銀行
でも払込が可能です。用紙を見せれば、何も言わなくても処理をしてくれます。料金は
12.50€です。
※住民票は役所で入手します。
NIE取得のためには、必ず居住している場所の証明が必要となります。これをvolanteと言
います。居住している市にあるどこの役所でも発行が可能です。例えば、マドリッド市内
に住んでいるのであれば、チャマルティン地区にある役所でもモンクロア地区にある役所
でも自分の住民票が取れます。
ただし、日本の役所のように、いつ行っても対応をしてくれるわけではありませんので、
行くに際して
事前の予約が必要です(ちなみにこれもcitaと言います)。電話で予約が可能
ですが、スペイン語でも電話が難しい場合は、HPでも予約ができます。
(
https://www-s.munimadrid.es/CitaNet/Concertar.do?)
※※役所に行く際の必要書類(※以下は、アパートを借りている場合の必要書類です。)
・パスポートのコピー
・賃貸者(大家さん)の身分証明書(DNI)のコピー
・アパートの契約書
・申請書(以下のHPから入手可能です。「Volante」の欄の下にある「Descargar
impresos」をクリックするとダウンロードできます。
https://sede.madrid.es/portal/site/tramites/menuitem.619dfa2990e56405bb8d69f6ecd08a0c/?vgnextoid=5388a38813180210VgnVCM100000c90da8c0RCRD
さて、NIEの2回目の出頭に戻ります。上記の必要書類を出し、問題がないことが確認されれば、指紋の撮影です。備え付けの読み取り機に指を押し当てて、採取完了。別の窓口に行くように指示をされ、そこで受取証(resguardo)が発行され、2回目の出頭は終了します。受取証には、この日から数えて
45日以内にNIEを取りに来るように指示が書かれています。しかし、「45日以内」と言っても、すぐ翌日に取りに行っても、NIEはできあがっていません。「いついつに取りにきなさい」と、正確な日時も告げれませんので、早すぎず、また45日を過ぎない程度の日にちに取りに行くことになります。
ちなみに、妻のケースでは、「20日後だったらできあがっているよ」と担当者に言われました。実際に、そのくらいの日に取りに行ってみると、NIEができあがっていました。「20日後」というのがある程度の目安になるかもしれません。
③3回目の出頭:できあがったNIEを取りに行くための出頭
2回目の出頭日から数えて、
45日を過ぎない程度の日に、受取書を持って最後の出頭をしま
す。受取証と引き換えにNIEが手渡されます。
場所 :アルーチェ(荷物検査後、入口を入って左の建物の1階)
時間 :12:00~18:00まで
必要書類: ・受取証(resguardo)
・パスポート
※場所について、2回目の出頭場所と同じ入口ですが、受け取り専用の窓口があり、外ま
で列になっています。20~30分は並びます。
以上、今回は、本人分のNIE申請の基本的な流れについてだけ説明しをしました。簡単にまとめると、「住民票(volante)を役所で入手」→「アルーチェにてcitaの取り付け」→「書類提出と指紋撮影」→「受け取り」という流れで進んでいくわけです。
大学や職場などで、スペイン人の助けを借りられると思いますので、最大限の援助をもらうことが望ましいです。1ヶ月半~2ヶ月の長丁場ですので、何か理不尽なことが起こっても、根気強く行動してください。
次回「NIE取得の道のり3」では、家族分の手続きの流れをご紹介します。
[2回]
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Re:No Title
私の記事は、「私の所属大学の事務スタッフにインターネットや電話などではなく直接出頭するように指示されたこと」と「スペインの入国管理局(Secretaría General de Inmigración y Emigración)のサイトにそのような案内がないこと」を根拠にしています。スペイン入管のサイト(http://extranjeros.empleo.gob.es/es/InformacionInteres/InformacionProcedimientos/Ciudadanosnocomunitarios/hoja091/index.html#Autorizacion)には、「手続き」(Procedimiento)の部分に、WebなどでCitaが取れるというような案内が見当たりません。
ただ、私もこれ以上の情報源を調べたわけでありませんし、県や自治体によって異なる、ということもあるかもしれません。もし「webでのCita取り付けが可能である」という実例、または情報源をご存じでしたら、お教えいただけたら幸いです。