2014年1月22日(水)
スペインと言えば、フランス、アメリカに次ぐ観光大国。しかしながら、または、それだからこそ、マドリッドの2013年度の観光客の数が減ったことについて、大きく紙面を割いて取り上げられています。
”20minutos”(情報源としている無料紙)の見出しにはこうあります。
「Pésimo 2013 turístico para Madrid pese al repunte de diciembre」
翻訳すれば、「12月には回復、しかし2013年のマドリッドの観光はひどかった」というものです。記事によれば、2013年のマドリッドへの
観光客は422万人。2012年の数よりも
5.3%少ない数字だということです。マドリッド市政は、12月の回復を誇らしげに語っているそうですが、年末は休暇などで観光客が増えるのは当たり前、楽観視できないとマスコミは懸念を表明しています(私も同感です)。
マドリッド市への観光客が減ったのなら、スペイン全体でも減っているのだろうと思いきや…、実は、スペイン全体での
観光客は6,000万人を超え、他の主要都市では客が増えているのです。
例)バレンシア 11.4%増、 カタルーニャ 8%増、 バレアーレス諸島 7.2%増 etc.
記事では、マドリッド市の観光政策の失敗を原因に挙げています。それに加えて、治安の問題、大気汚染の問題、交通料金の高さ、公共空間の魅力減退などが並びます。が、生活してみると、これら指摘されている問題のどれも当たっていないのではないかと思います。治安は良いです。空気は東京よりは良く感じますし、星もきれいです。交通料金は他の都市と変わりありません。公共空間ですが、アジアの我々にとっては、町並みなど、非常に美しく感じます。
思うに、マドリッドは芸術の街です。プラド美術館をはじめ、大小様々な美術館があり、優れた絵画の宝庫です。教会や修道院も多く、建築なども素晴らしいです。しかし、その不動の芸術作品たちに囲まれ、観光地として成熟しきってしまった感があります。これから、新たな魅力を開拓していくには、並大抵の発想では、観光客の減少に歯止めはかかりません。先の原因分析では少し甘いのでは、と心配してしまう次第です。
スペイン全体では観光客が確保できているのだからいいのでは、という考え方もありますが、マドリッドにとっては、それは大変危険な考え方です。スペインはバスク州やカタルーニャ州をはじめ、自治意識の強い州が集まって出来上がっています。これ以上マドリッドの観光収入が悪化し、他の州の足をひっぱるようなことになると、一気に各州の独立の気運が高まってきます。特にカタルーニャ州などは、ガウディーを武器に、一つの国として独り立ちしたい雰囲気が満々です。カタルーニャ州に独立されたら、マドリッドは、スペインはどうなってしまうのか…?
マドリッドは首都として、今後の観光政策をどうするか、大きな変革を余儀なくされている…。この記事から、そんなことを考えました。
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