今回の一品。スペインであればどこでも食べられ、決して珍しいものではありません。また、すでにいろいろな情報源で紹介されています。しかし、「この組み合わせ、よく思いついたっ!」と褒めてあげたいくらい好きな一品なので、あえて紹介をさせていただきます。
マドリッドのバルやレストランでチーズといえば、大抵の場合、ケソ・マンチェーゴ(queso manchego)を指します。直訳すれば「ラ・マンチャ地方のチーズ」ということになります。羊のミルクが原料のため、かなりクセがあります。また、硬くてパサついた食感なので、個人的には、そのまま食すことはあまりありません。
しかし、しかし!!これを、あるものと一緒に食べると、そのクセは「まろやかなアローマ」と化し、パサつきは「心地よい舌触り」と変化します。この「あるもの」、その名をメンブリージョ(membrillo)と言います。
(近所のセレクトショップで買ったメンブリージョ。500gで5.40€:約760円)
メンブリージョ(membrillo)を辞書で引くと「マルメロ」と出てきます。日本ではあまり馴染みのない名前ですが、カリンに近い果物ということ。これを砂糖煮にして固め直したものが、この写真の物体の正体です。甘さと同時に爽やかな酸味。少しザラついた食感で果肉の名残が感じられ、ナチュラル感があります。
これを、適当な大きさにカットし、ケソ・マンチェーゴの上にのせて食します。
(こんな感じ。レストランやバルなどでも、たいへん一般的な一品。)
普通のチーズが持つ味となめらかさでは、主張が足りなすぎてメンブリージョと同化するのみです。しかし、ケソ・マンチェーゴの場合、その「クセ」とメンブリージョの甘味と酸味がこの上なくマッチします。その「パサつき」はメンブリージョの適度な水分と相まって、ちょうど良い食感へと変化します。
スペインでは、どこでも食べることができるこの一品。しかし、家庭で試すと、さらに自分の好きな味を追求することができます。ケソ・マンチェーゴは、その熟成度合いによって、フレスコ(fresco)、セミクラード(semicurado)、クラード(curado)、ビエホ(viejo)の4種に分けられます。自分の好みに合わせて、ベストな組み合わせを探してみてはいがかがでしょうか。
ちなみに、近所の肉屋でケソ・マンチェーゴを買う際、「メンブリージョと食べるには?(con membrillo?)」と聞くと、「セミ(semicurado)」という答え。確かに、一番合うような気がします。
[1回]
PR
COMMENT