前回「NIE取得の道のり3」までで、NIEの基本的な知識、本人の申請方法、家族の申請方法を説明してきました。これまでの記事で書いている通りに事が進めば、非常にあっさりとNIE取得となります。が、そこはスペイン。ただでは事を進めさせてくれませんでした…。シリーズ4回目の今回は、「実践編」と題し、私自身のケースをご紹介します。実際の手続きのプロセスとボヤきをお届けいたしたいと思います。
※今回は、ほぼ「ボヤき」ですので、手続きの概要をご覧になる場合は、この記事のシリーズ(1~3)までで十分です。
1.「
たらい回し」はやめて!
家族申請は、これまでの記事で紹介したとおり、カニジェーハスが最初の出頭先です。しかし、実のところ、ある理由で間違った場所に出頭してしまい、疲労を余儀なくされました。まずは、そのエピソードとボヤきから。
実は、NIEの申請にあたり、まずは私が籍をおく大学の事務に相談に行ったところ…
「家族に申請については、アルーチェに行った際に、本人の申請と併せて、家族申請に必要書類等、どうすれば良いかを確認するのよ。」
と指示をされていました。そこで、アルーチェに最初に出頭した際、「自分の申請と併せて家族の申請もしたいのだが…」と尋ねたところ、「ここじゃない。他の場所だ!!」と一蹴されました。そして、場所を指示されました。その場所というのは、これまた「外国人担当局(Información Extranjería)」(住所:Calle Manuel Luna 29)という場所でした。最寄りは、地下鉄1号線のエストレーチョ駅(Estrecho)でした。しかたなく、徒歩も含めて1時間程度かけ(雨が降っているにもかかわらず)指示をされた場所まで行きました。
現地に着くと、自分と同じように外国人が家族のパスポートなどを持って待っていました。その光景を見て「確かに家族の申請はここなんだ」と思いながら、番号札を取り、待ちました。番号を呼ばれ、窓口へ。これまでの経緯と家族の申請のためにここへ来た旨を伝え、パスポートを提示しました。何やらパソコンで調べ始め、待つこと5分程度。
「なんだかわからないけど、コンピューター上にあなたのデータが現れない、処理できない」
と…。続いて、何やら証印付きの紙切れを渡され「メールでここに連絡しろ」と言われ…。何が何だかよくわからないので、「もっとちゃんと説明してほしい」とお願いしましたが、「アタシだってわからないわよ、コンピューター上に出てこないんだから!!とにかく、アンタたちのパスポートをスキャナーでデータ化して、ここに送信しろ!」と怒り口調。「スキャナーなんて持っていない」と反論するも、「それは知ったこっちゃない」と取り付く島もなし…泣く泣く退散する結果となりました…。
紙にはこう書いてありました(日本語訳)。
「学生ビザを所持する当該学生およびその家族は、勉学のための滞在許可において未だ適切に処理をされておりません。指紋採取に先立ち、
informaciongeneral.madrid@seap.minhap.esに連絡し、データ入力の許可を取り付けてください。その際、パスポートの添付を。」
つまりは、「上記のアドレスに、パスポートのデータを添付して、上記のことをお願いするメールを書け」というのです。スペインに来たばかりで、まったく入国管理のシステムのわからない私にとっては、寝耳に水。しかたなく、その足で、大学の事務に駆け込むことにしました。
理解の範囲を超えた事態に、大学へ戻り、事務の協力を仰ぐことに。たらい回しになった経緯を伝えると、何かを思い出したらしく…。
「ごめん、ごめん。君みたいなケースは、アルーチェじゃなくて、まずはInformación Extranjeríaに連絡をしておかなくちゃいけなかったんだ!」
と無邪気に言われてしまいました。いつもは、普通の留学生を相手にしているので、私のように家族を伴うケースには不慣れだったようです。その場で、パスポートをスキャンしてもらい、上記のメールアドレスへ添付、同時に「手続きの開始願い」の文面を先方へ送ってもらいました。これで、あちらからの返信を待つだけだということです。
9時に家を出て、この時点で15時。不慣れな土地勘とたらい回しのせいで、時間以上の疲労を感じます。本来せねばならない手続きをまとめると以下です。
・自分、または所属機関の担当者を介して、上記に書いた
外国人担当局(メールアドレスへ
メール)へ連絡をする。その際、家族の手続きを開始してほしい旨を伝え、
パスポート(顔
写真とビザのメージ)のデータを添付する。
・1週間程度で、先方から、出頭日と場所を告げられる。私のケースでは、返信をもらうのに
8日間、出頭日はさらに2週間ほど先でした。場所は、カニジェーハスです。
・そして、
告げられた日時にカニジェーハスに出頭する。
以上をもって、家族のNIE申請はスタートするというわけです。今回、籍をおく大学の事務スタッフの間違いでこのような「たらい回し」に遭いましたが、その事務の人にボヤくつもりはありません。間違いは誰にでもあります。しかしながら…
ボヤき1:縦割りもほどほどにしてくれぃ!!
スペインの行政手続きは「似たようなものでも別の場所」ということが多々あります。そして、それぞれ自分の仕事の範囲しか把握していません。今回のケースも、初めにアルーチェに行った際に、「家族の申請にあたっては、まずInformación Extranjeríaにメールで連絡しなければならないのよ」と一言くれれば、歩き回らずに済みました。しかし、スペイン人の性格として、「それはわからないので、ちょっと調べます」というのは、あまり一般的ではないようです。とにかく、何も把握していない人でも、自信を持って「それなら、ここじゃなくて~へ行け」と言い切るので、困ります。「わからない」と言ってくれれば、こっちもに「他の担当者に聞く」など、やりようがあるのに…。このスペイン人気質に「縦割り」が合わさるので、こちらとしてはたまりません。
日本も縦割り業務の「ムダ」が指摘されて久しいですが、こちらは、想像以上に縦割りです。このブログの過去の記事「荷物に関税をかけられたら」でも紹介したとおり、同一の手続きでも、あっちこっちに行かされます。とにかく、先方ではなく、こちら側が時間もお金も体力も消費させられることになります。縦割りもいい加減にしてほしいと…、ボヤきたくなります。
2.
処理の不具合も頻繁に!!
いろいろとあった後、家族(妻1子1)の2回目の出頭、つまり指紋採取の日。(ちなみに、この時点で、すでに入国から2ヶ月と15日程度たっています。)先方が郵便で通知してきた日時にアルーチェへ出頭しました。16:00~18:00までとなっていたので、17:00頃に到着。その時間帯は、家族の申請の時間帯らしく、寒空の下、子連れの申請者が目立ちました。アルーチェは、屋内に待合室があるわけではないので、夏は炎天下、冬は寒空の下で待たされることになります。正式な滞在許可を前にした、一種の「忍耐力検査」のような意味合いでしょうか…?
1時間10分ほど待ったのち、やっと建物の中へ。中でも10分ほど待ちました。いつものとおり「siguiente(次の人)」の声に反応し、窓口へ。これまた、運悪く、無愛想でやるきのなさそうな女性の窓口に…。おそらくは「ザ・無愛想・世界大会」の上位に食い込むつわ者です。
さて、家族申請の必要書類を提出。実は、事前に郵送されてきた提出書類リストには「顔写真3枚」と書かれていたのですが、提示するやいなや、ぶっきらぼうにこちらに2枚を投げつけて来ました。
私 :いらないの?
係員:いらない。
私 :じゃあ、どうして必要書類に「3枚」って書いてあるの?
係員:(無視)
私 :・・・。
次に、妻の申請に関して…
係員:子供はできたけど、奥さんのはコンピューター上に記録が出てこない。だから、今日は手
続きを進められないわ。
私 :どうして?
係員:わからない。明日の9時から13時の間にもう一度来て。この紙を見せれば、並ばないで手
続きができるから。
そう言って、ハンコ付きの紙を渡されました。
ボヤき2:必要あるものだけ「必要書類」としてくれ!!
必要書類リストに「顔写真3枚」って書いておきながら1枚しか必要ないって…。一体どうい
うこと?3枚もサイズをそろえるの、地味にめんど臭かったぞっ!!
ボヤき3:そっちの仕事をちゃんとやってから、出頭要請をしてくれ!!
通知で「×月×日○○時に来い」と指定しておいて、行ってみたら「コンピューター上に記録がな
いから明日また来い」って!!すでにコンピューター上の処理が済んでるから、出頭日を指定
してきたんじゃないんかぃ!?頼むから、そういうのちゃんと確認してから、出頭させるよう
にしてもらえないかなぁ…。こっちだって暇じゃないんだから。「コンピューターに記録がな
いから、じゃあまた明日」って無邪気に言われても困る~。
結局、次の日に妻と共に再び出頭。たった1日で前日の問題が解決しているとは思えなかったが、前日にもらった紙を見せ、並ばす建物の中へ。昨日の担当者の言うとおり、すぐに手続きを開始することができました。今回は、前日の女性よりは愛想の良い男性。事情を説明すると、怪訝(けげん)な顔をしながらコンピューターとにらめっこ。さらには隣の受付の同僚と手続きについて話しています。何やら、問題を解決している模様。本当のところはわかりませんが、見た感じでの私の解釈では、昨日のうちに、なんらかのコンピューター上の問題を解決したというわけではなく、今、この瞬間にこの問題の修復を図っているといった感じでした。「だったら、昨日窓口に出頭した際に、サクッと解決できたんじゃない」と疑いたくなりましたが、事を荒立てないよう、黙ってその様子を見守りました。10分程度ののち、ようやく指紋採取が始まり、事が順調に進んでいることを認識。その後は問題なく、受取証(resguardo)を発行してくれました。
一日ずらして、どんな問題が修復されたのか、まったく不明ですが、とりあえず手続きが進んで安堵しました。
これで、このシリース「NIE取得の道のり」を終えます。NIE取得にかかる時間の長さ、手続きの煩雑さ、起こり得る問題など、
心の準備ができるのではないかと思い、このシリーズを書きました。「想定外の出来事」と「想定内の出来事」とでは、人間、心の余裕と対処法が違ってきます。悪名高い「NIE取得」。ぜひ、スペイン生活最初の洗礼を、
心の余裕を持って楽しんでください。
※最後にもう一度:ここでの情報はあくまで2013年現在の情報です。また、申請者の身分によって、状況が異なることが予想されます。ここで書いたことは、一つの参考情報としてとらえていただけると良いかと思います。
[6回]
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