物品を商売目的で海外に郵送する場合、その商品に対して「関税」を払わねばなりません。しかしながら、商売目的ではなく、自宅での消費目的で日本から郵送してもらった荷物が、関税局で止められ、税金を徴収されるといった場合があります。私が今までに生活した国(ベトナム・中国)でも、こういったケースが必ずありましたが、スペインも例外ではありません…(残念)。ここに、悔しい経験を記録させてください。
関税徴収の時系列
1.入国してから1週間。出国前に準備しておいた荷物を身内にSAL便で郵送してもらう。
2.3週間後、到着が遅いなぁ~、と思っていたとき、「マドリッド航空貨物センター(Centro de Carga Aérea Madrid Barajas)から「国際郵便到着通知」(Aviso de Llegada Envío
Postal Internacional)なるものが届く。以下、それぞれ「センター」「アビソ」と呼びます。
(アビソの封筒。赤いURGENTE(速達)に威圧感を感じます。)
3.アビソに「関税の支払いのために、所定の期間内に出頭すること」と書かれていることを
確認する。所定の期間は、9月16日(月)~22日(日)であった。※土・日が含まれている
ことに留意(あとでボヤきます)。
4.アビソを受け取った翌日、封筒にある住所を基にGoogleマップで所在を確認。運搬用の
キャリアーを持って、センターに出頭する。
※センターの行き方
・住所は「Calle Trespaderne s/n, Madrid」です。ちなみに「s/n」というのは”sin
número”(番号なし)の略で、官庁や大きな建物につけられる住所です。
・地下鉄アベニーダ・アメリカ駅(Avenida América:6、7号線など)から114番のバス
で30分弱で到着します。外をよく見ていると、Centro de Carga Aérea と書かれた大き
い建物が見えてきます。その正面でバスは止まります。バラハス空港の近くですが、
空港に行ってしまうとセンターへのアクセスが難しくなります。
5.下車後、正面玄関(1階にカフェがある)付近にインフォメーションを発見、封筒を見せ
ると、行くべき場所を指さして教えてくれた。
6.指示された1階の入口で荷物検査を通り、入館。窓口に先客がいたため、15分ほど待つ。
自分の番が来て、アビソを見せる。15分待ったあげく、以下を告げられる。
・「ここではなく、あっちの建物でだ」
・「あっちの建物は歩いて5~6分かかる」
・「あっちの建物で自分の荷物の伝票をもらって来い」
・「もらったら、またここに来い」
※「あっちの建物」の行き方については、窓口に地図が貼ってある。おそらくは、「ここ
じゃなくてあっちの建物だ」といった案内を日々繰り返しているものと思われる。
7.バス停のある通りを渡り、歩いて5分。「あっちの建物」に到着。「あっちの建物」と
は、荷物の集配場のようなところであることが判明する。中に入り、アビソを渡すと、待
つように指示される。5分後、自分の荷物の伝票が渡され、「あっちの建物」へ行くよう
に指示をされる。この場合の「あっちの建物」は、私が初めに行った建物のことである。
8.初めの建物に戻る。またまた先客があり、5分待つ。自分の番となり、もらってきた伝票
を渡すと、信じがたいやりとりが繰り広げられる。
窓口:中身は…、新しいもの?
私 :いいえ、ほとんど古いものです。新しい本もありますが、自分の勉強目的です。そ
の他の生活用品も、自分で消費します。
窓口:OK。じゃあ、これから中身を調べて、関税対象になるものをチェックするから、明
日の12時以降に、また来て。
私 :えっ!?
窓口:明日がだめなら、あさってでも来週でも大丈夫よ。
私 :いやいや、そうじゃなくて。今日じゃダメなんですか。まだ10時半だし、待ってい
るから、今日全部済ませたいんですが…。
窓口:いや、それは無理よ。チェックには時間がかかるから…。
まったく腑に落ちないながらも、帰宅を余儀なくされる。
9.翌日、再びキャリアーを持って、センターへ12時に出頭する。初めの建物の窓口へ行く
と、前日に提出した伝票と必要書類を渡され、「じゃあ、あっちの建物で。関税対象のも
のはなかったわよ。」と言われる。
10.「あっちの建物」へ行き、書類を提出する。10分後…。
係員:じゃあ、5.34€ね。
私 :えっ、関税はかからないと言われたんですが…。
係員:いや、手数料だよ。
発行された領収書には、「Tarifa de presentación a aduana 5.34€」(税関への照会手数
料)と書かれている。仕方なく手数料を支払うと、荷物が手渡され、晴れて日本からの物
資を手に入れることができた。
ボヤかせてください
個人の荷物を適当に選んで局留めにし、在住者に関税を徴収するということは、いろいろな国であるようです。しかし、商売目的でなく、日常の生活に必要なものに関税を支払うというやり方は、やはり腑に落ちません。というか、非常に悔しく、気分を害します。運が悪かったとあきらめるしかありませんが、このケースになった場合には、すべて日常生活で消費するものだと強く訴えて、出費をできるだけ抑えるしかありません。
<ボヤき>
まず、出頭に定められた期間について。
今回のケースでは、9月16日(月)~22日(日)となっていました。「1週間はあるではなか」と思うなかれ。アビソが届いたのが17日(火)です。しかも、よく読むと、「土・日は閉館」と書いてあります。となると、実質的に出頭できる期間は、18日(水)~20日(金)の3日間しかないのです。出頭期間に入ってアビソが届き、しかも閉館する土日もしっかりと出頭期間に入っている…。何か間違っていないかぃ!!
それから、出頭するべき場所(建物)について。
「あっちの建物」で伝票をもらってからメインの建物で手続きをする、という流れなら、アビソにそう書いておいてくれないと。建物が近いならいいけど、歩いて5~6分かかるんだからっ!無駄に15分待っちゃったよ!最初に行ったインフォメーションの案内も不適格だし…。
最後に、たかが荷物の受取で2日間もかかる件について。
普通なら、「税関で荷物を開けたところ、関税対象と思われるものがあった。だから出頭を求められた」と考えるでしょう。しかし、違うのです。
日本から来た荷物を適当に止め、出頭を要求。1日目はメインの建物の窓口に出頭して伝票を渡し、受取の意志があることを表明するのみです。しかも、メインの建物と集配場とは行政機能が異なるらしく、横の連携がありません。5分歩いて伝票を持ってくる作業も、出頭者自ら行わなければなりません。言うなれば、一日目は、伝票を集配場からメインの建物へ届け、手続き開始をお願いするために参上するようなものです。
1日目のこの作業が終わってはじめて、荷物を開け、関税対象物の有無の確認が開始されます。あれば課税、なくても手数料を徴収します。こうして計2日間、出頭を義務付けられます。
今回、法外な関税をかけられずに済んで良かった…と安堵するも、様々なツッコミが頭に去来しました。
・関税がかからない…。じゃあ、いったい何のための2日間?荷物を調べて、怪しいものを
発見したら呼んでくれよ~っ!
・それができないなら、受取に2日間かかることを書いておいてくれいっ!
・同じ組織なんだから、伝票を運ばせるのはやめてくれっ!
・「じゃあ、明日ね。」なんて無邪気に言わないでくれいっ!そんな暇そうに見える、私?
とにかく、スペインは時間をかけさせてくれます。家からセンターまで片道1時間15分。2日間で5時間。商売目的ではない個人の荷物を勝手に止めておいて、「関税対象はなかったからOKよ。でも、手数料払ってね」って、なに、その自作自演!
この件をネットで検索すると、いろいろなケースがブログなどで紹介されています。みなさん、憤っています。それは、そうです。友人や家族が、海外での生活は苦労も多いだろうと、元気の出る食べ物などを送ってくれる。でも、それに高い関税をかけてくるのです。今回の自分のケースは金銭的に低かったので、運が良かったほうかもしれません。でも、こういう出来事は、海外生活を実感できる体験ではあるものの、決して気持ちの良いものではありません…。今後は、ご勘弁を…。
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